Notable Cast: Kentaro Kishi, Sozuno Takenaka, Tomumitso Adachi
2017年の年度末に、SNSである男性が彼の撮った映画を送ってくれた。その時私はまだその年一番良かった日本映画の候補となる映画を探していたため、喜んで受け取ってその「種をまく人」という不思議な映画を何の前情報なしに見始めた。それがこんなにも幸せな体験になるとは。
私がここ10年見た中で一番胸がえぐられるような映画であり、同時に監督としてのデビュー作品の中で最高レベルの映画の一つだった。比較できるような他の監督や自然についての映画は別として、これは私にとっては一番の褒め言葉だが、この世にはイ・チャンドン監督のような人物がもう一人いて、彼の名前は竹内洋介だ。 これは彼らが同じであるという意味では全くないが、彼は真のヒューマンドラマの新たな達人として姿を現し、大衆から注目を浴びるべき人物だ。
竹内洋介はジャン=フランソワ・ミレーやフィンセント・ファン・ゴッホなどの有名な絵画からアイディアを得ている。映画のタイトルが二人の画家の絵画にちなんでいるように、「種をまく人」は親密だった家族が、子供たちの叔父で疎遠になっていた光雄がある日現れたあとに起こる悲劇によって崩壊していくことに焦点を当てている。ネタバレせずに言うと、ここで見えるのは私が見た中で最も美しく、ピュアで自然体な演技の一つである。演技は正に真に迫っており、時にドキュメンタリーを見ているように感じる。映画全体を通しても、不自然であったり、失敗したような展開などは一つもない。
この作品はあまり派手さもなく、とても静かな映画ではあるが、家族という名の絵画を巧みに描き、家族であること、それに伴う幸と不幸をとても繊細に表現している。不運なできごとがすべての歯車を動かしていくが、それによって試される信用やその影響は、一つの出来事がどれだけのことを引き起こしうるのかを、見る者に教えてくれる。この作品はたまらなく悲しいが、同時に同じだけ魅惑的で、美しい。映画でこれほど悲しみと幸せを同じくらいの度合いで感じたのは随分と久しぶりだ。
私は種をまく人が類を見ない映画体験であり、映画ファンは全員見るべきだと間違いなく言える。
どこかのインディーズレーベルがこの作品を見つけて正当なリリースをすることを本当に願っている。素晴らしいヒューマンドラマの中の上位にふさわしい作品。人間の影も光も全て、ありのままに描いた作品である。(翻訳 山口彩花)
Originally Written by
Josh Parmer
Translation by
Yamaguchi Ayaka
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